「どなたか着付けを
してくれる方を…」


「…私が着付けを
お手伝いましょう」


えッ。


えええええええッ!?


弁護士さんの
思わぬ申し出に

アタマがパニックになるッ。


「服の上で構わないので
この襦袢をまず着てください」


あ…。


制服のブラウスの上から
スカートを履いたまま
襦袢をつけると

あっという間に
喪服を着付けられる。


「…ずいぶん
慣れてるんですね」


「昔はよく
お嬢さまの着付けを
お手伝いしたモノです」


「……」

弁護士さんは
当たり前のように
話してるけど


それって
弁護士の仕事を
かなり逸脱した行為だと
思うのだが…。


「私が中学を卒業してすぐ
この家に書生として
上がった頃からですから

けっこう着付けの腕には
自信あるんですよ」


「……」

弁護士になる間から
この家にいたヒトなんだ…。


小間使いみたいに
動いてるのも
そのせいなのか…。


喪服に着替えた私は

弁護士さんに連れられて
部屋を出た。