油断した午後編
遠くで
木魚がポクポクと
まるで鼓動を急かすように
リズムを刻んでいる。
お坊さま達のお経を唱える
低く太い声が
地響きのように
伝わってきた。
「セイッ…!」
いくら遺骨もないからって
こんなのッ
罰当たりな行為だと思う。
煩悩の極み。
前が完全に肌蹴た
黒の紋付きから
制服が露出していて。
「服の上から
着せ付けるなんて
マニアックなオッサンだな」
着物を着る為に
おおきく開かれていた
制服の襟元に
セイが舌を這わせた。
「…カラダが細いから
補正代わりになって
ちょうどいいからって…あッ」
悔しいかな。
こんな事態ででも
セイの舌使いに
反応してしまっている
自分がいて。
「足袋は自分で履いたの?」
「……」
「履かせて貰ったんだ?
オッサンに身を任せて?」
「…あッ、や、やッ!」
セイは
私の左足のカカトを掴むと
私のヒザを
折り曲げさせるようにする。
カカトを掴んでいた
右手の親指だけで
簡単に
足袋の留め金を
外していった。
足袋の合間から
露出したカカトを
セイがやさしく歯を立てる。
「あ…」
歯に挟まれたカカトが
ちろちろと
その卑猥な舌で刺激され
「こそばゆい…ッ」
アタマが
おかしくなりそうだッ。
私のカラダが
それ以上
せり上がるのを阻むように
私の頭頂部に
柔らかいモノが当たった。