「あ、ほら。
私はセイが養子だったって
最近まで
知らなかったからッ」
「……」
「あッ、別に
知らないのならいいけどッ」
知らないのなら、って
私のセリフが
イケなかったのか。
「トーコさんこそ
直接セイ先輩に訊いたら
どうなんですかッ」
凄い剣幕で
言い返されたッ。
「…いや、あの。
セイって
どこからが本音で
どこまでが冗談なのか
イマイチわかんないトコ
あるからッ」
私の言い訳に
「そうなんですよねッ!」
なんて
カノンくんが
私の手を取り
おおきな無垢な目で
見つめてきてッ。
ああ〜。
おねいさんは
ドキドキしてしまうぢゃ
ないかああああ。
「あッ。すみませんッ」
つい、って
カノンくんが
私からカラダを離した。
「…セイ先輩って
いっつもそうなんですよね。
僕達を
からかっているのか
マジなのか
掴みどころがなくって…」
「セイって
学校でもあんな調子なんだ?」
男子校での
傍若無人な振る舞いをする
セイなんて。
あのワガママが
学校でも通用してるのかと
思ったら
空恐ろしいッ。