「僕が
中等部に入学した時には
もうセイ先輩は
他の生徒とは別格扱いで」
高等部の先輩達の
お気に入りで
高等部の先輩達と
いつも行動を共にしていて
誰も近寄れなかったと
カノンくんは
自慢げにする…。
「僕なんて
生徒会の役員に選ばれるまで
目も合わせて貰えません
でしたから」
…セイってば
相当、甘やかされてきたなッ。
セイの性格が
歪んできたのは
この環境がおおいに
影響しているのかも
しれないッ。
「従兄弟なんだから
気軽に接したらいいのに」
「セイ先輩は
自分が養子であるコトを
秘密にしてましたから」
…ああ。そうだった。
学校で
そんなウワサでも
立とうモノなら
私の耳にもきっと
入って来たに違いなかった。
「セイ先輩と
ふたりきりになる
チャンスがあって…」
そのとき
初めて自分が従兄弟であると
言い出せたのだと
カノンくんは頬を染める。
「あのときの
セイ先輩はやさしかったな」
このコトは
ふたりだけのヒミツだよ、って
「放課後の生徒会室で…」
ふふ、って
カノンくんッ。
その意味深な
思い出し笑いは
やめましょうううううう。
「…ああッ」
アタマが痛いッ。
セイが口止めの為に
まだ中学生のカノンくんに
しでかしたであろう大罪を
想像しただけで
カノンくんのご両親に
申し開きするコトバも
ございませんッ。
私は
セイのご先祖さまに
ココロの中で
そっと手を合わせた…。