「セイッ、アンタッ

それ
まだ渡してなかったのッ!?」


信じられないッ。


トーコは
お金を落とすからって

自分から
安請け合いしておいてッ。


「この度は
お悔やみ申し上げます…」


なんて
今更、凄くオマヌケだけどッ。

私は机の上のお香典を
カノンくんに手渡しし直す。


「…どっちにしても

今日はもう
この島から出る船は
ありませんから」


「えええッッ!?」


思わず
セイと顔を見合わせた。


「船は前日までに
予約を入れなきゃ
乗れませんし…」

「だったら今すぐ
明日の予約を入れろッ」


セイが
カノンくんに凄んでみせる。


「…ちょっと、セイッ」

それは
ヒトにモノを頼む態度じゃ
ないでしょッ。


「誰に頼んでるんですか?」


「カノンッ!!

おまえに
決まってるだろうがッ」


ああ。

セイが切れかかってる…。


「だけど

海が時化ると
予約してても
船が出せるとも限らないし」


「…おまえ

えらく
嬉しそうな顔してるな?」


「えッ」