緩みっぱなしの顔を
セイに指摘され
カノンくんの額から
汗が吹き出してきた。
「…だって」
セイ先輩が
初めて僕の名前を
呼んでくれたから、って。
カノンくんの
このセリフは
聴かなかったコトにしようッ。
…シンスケといい
カノンくんといい。
世の中の男子は
いったい
どうなっとるんじゃ。
「…俺のお願いが
きけないのかな?
カノンくん」
「……」
「セイッ!」
そんな艶っぽい目で
カノンくんを見つめたらッ。
「…キス、してくれますか」
カノンくんッ!!!!!
「……」
セイが
カノンくんのアゴを
乱暴に掴んで。
ひえええええええええッ。
思わず私は
目をつぶってしまった。
イケないんだ。
イケないんだッ。
そんなコトしちゃ
イケないのにッ。
全ては
この小悪魔の存在が
ヒトを狂わせてるッ…!
「…今日のうちに
船を出して貰えるよう
至急、手配しろ」
「……」
「金ならいくらでも出す!
できないとは
言わせない!!」
「……」
…中学生相手に
何を強要しとるんだッ。
「…やってみます」
えッ。
「セイ先輩の為なら
僕、全てを敵に
回せますから!」
…おいおいおいッ。