セイが
私のアタマを抱き寄せ

ふたり、覚悟を決めた。


のに。


「その座布団は奥の間にね。

お茶菓子の用意も
忘れないでよ」


何事もなかったかのように

家の住人は
立ち去っていって。


「あ…」

足音が
フェードアウトするのを
確認して

セイとふたり

初めて息をついた。


「…よかった。
見つからなくて」


きっと帯が
どこかに
引っ掛かってたんだよね。


「帯を見つけられて
引っ張られたのかと思って
超アセッタけど」


私は
押入れのフスマを
ちょっとだけ開けて

部屋の中に
誰もいないのを

確認する。


「思いっきり
バレてたと思うけど」


セイが
フスマを乱暴に
おおきく開けて


「おっとッ」

畳の前に
私は突っ伏してしまう。


私のお尻を覆っていた着物を

中のスカートごと
私の上半身に被せて


丸出しになって
高く突き出した私のお尻を

セイがパンパン叩いた。


「やだッ、何するのよッ」


被せられた着物から
アタマを出して
私はセイに抗議する。


「早くそのカッコ
何とかしろ」


セイは
さっきまでの欲情など
なかったように

立ち上がって
自分の服装の乱れを
直していた。


「……」

「その喪服を着たいなら
着せてやってもいいけれど」