近所のヒトだろうか。
式が始まる前に
来ていた弔問客は
皆どこか
アカぬけていたような
気がしたけれど。
式が終わった後に
焼香をしているヒト達は
みんなツメが真っ黒で。
ペコペコと
やたらと腰が低かった。
私は弔問客の列に並んで
焼香の順番を待つ。
前のヒトのやる通りに
焼香をして
遺影を見上げた。
…やっぱり
ピンとこないな。
逢ったコトもないヒトの
お葬式に出るなんて
死の実感がわかなくて
変な感じだ。
…しっかし。
私が焼香の順番を
並んで待っている間
カノンくんは
部屋の端でずっと
来た廊下を気にしていて。
「お待たせッ。
セイを探しにいこうか」
私が声を掛けると
ココロの中を
読まれたと思って
動揺したのか
カノンくんがちょっぴり
赤くなってウロタエタ。
「やっぱり
カノンくんの部屋に
戻ったのかな」
「あ、ああ。
そ、そうじゃないでしょうか」
ふふ。
噛み噛みなのが
かわいいぞッ。
カノンくんと
元来た廊下を戻っていく。
「ねえ。
セイはカノンくんのコト
いつから知ってたの?」
「え?」