私は被っていた布団を
幽霊の気配のする方向に
投げつけてッ。
足蹴にして
遠ざける!!!
「おいッ」
「私は幽霊なんか
見れない体質なんで
お願いですから
さっさと
通り過ぎてくださいッ」
「おいッ!!」
えッ。
幽霊が何か
声を出したような…。
「ったく!
このバカトーコは
メチャメチャ蹴りを
入れやがってッ!」
って。
聞き覚えのある声に
そっと顔を上げる。
「セイッ!?」
「セイ、じゃないっつーのッ」
均整のとれたシルエットが
フラリ、立ち上がって
電気を点けた。
もおおおおおッ。
「心臓が止まるかと
思ったじゃないッ」
「憎たらしいセイがイジメた
ヒツジが1匹
ムカつくセイが甚振った
ヒツジが2匹…って
あんまりトーコが
俺を挑発するモノだからさッ」
それにしたって
幽霊の存在に怯える
私を掴まえて
この仕打ちは
ないと思うッッ!
しかもッ
カギを掛けていたハズの部屋。
「アンタ、どこから
入ってきたのよッ!!」