倒れたフスマの
裏には


おびただしい数の
悪霊よけの御札が

ビッシリと貼られていて。


「…何なの、この部屋」


「ただ単に
この部屋がこの屋敷内の

鬼門に当たる場所だからで」


深い意味はないと
思うよ、って

私の目を塞ぎながら

気休めなんか
言われてもッ。


「別にこの家で
何か禍があったとかなら

あのカノンが
俺の耳に入れないワケが
ないだろう」


「セイの耳に入れて
気持ち悪がられて

出て行かれたら
困るからじゃないのッ」


「オカルト好きな
この俺がか?」


「……」

そう言われてみれば
そうだ。


セイの持ち物や
ファッションを見たら

誰だって
オカルト大好きだって

わかりそうなモノなのに。


「…もっとも

アイツが俺のコトが好き
ってコト自体

怪しいけどな」


「えッ」


セイがゆっくりと
私のカラダを
押し入れから降ろした。