セイが足を使って
被せたのだろうか。
倒れたフスマの上に
布団が無造作に
掛けられていて。
「…バチあたらない?」
「御札には悪霊なんか
ついてないだろ」
フスマを元に戻すから
向こうを向いていろ、って
セイは
気を遣ってくれているのかも
しれなかったけどッ。
もし”何か”と
目が合っちゃったら、って
思ったら
恐すぎでッ。
私は堪らなくなって
その場に
しゃがみ込んでしまう。
「何だ? それ」
目をつぶっていた私の
ヒザ小僧を
セイが足で突いた。
「もおッ!!
恐いから
脅かすのはやめてッ」
「トーコの横。
敷布団の端に転がってるヤツ」
え?
私はそっと
セイが指摘したそれを
確認する。
「湯たんぽ…!?」
しかも、まだ温かい。
布団の中で
私の足に触れた
硬くて生温かいモノの正体は
「これだったんだ…」
でもッ。
「何でこんなモノが
こんなトコロにッ!!!?」
布団を敷いたのは私だし
「カギだって
ちゃんと閉まってるッ」
「カノン母が
持ってきたんじゃね〜の?」
セイが押し入れを
指さした。