「制服と湯たんぽ持って?
あの狭い通路を?」
余程、運動神経がよくないと
かなりの物音が立つだろう。
いくら私が
ゲームに
夢中だったからって…。
「実は忍者の子孫とか?」
「話を茶化さないでくれるッ」
…どっちにしても
声もかけずに
イレギュラーなトコロから
侵入して
「こんなモノを
残していくなんて…」
その感覚を
疑いたくもなる。
「朝、起きたとき
トーコのコト
驚かせたかったんじゃ
ないの?」
あのオバサン
あんな顔して
実は
サプライズ好きとか、って
セイがまた
ふざけてるッ。
「何か他にも
隠し扉があるような
気がするッ」
私は部屋を
くまなく見て回った。
「幽霊と目が合っても
知らないぞ〜」
「お札だって
カノンママのイタズラなのかも
しれないしッ」
そうだよ!
「カトーさんだって
この屋敷には
妙な言い伝えで
怪我したヒトはいるけれど
幽霊なんか見たコトないって
言ってたもんッ」
「…カトーが何だって?」
「……」
ああ〜。
私のバカッ。
私の口から
カトーさんの話が出ると
セイは本当に不機嫌になるッ。