「トーコさんは
ここで出された
お茶菓子とお茶を
自分の意志で飲んだから
監禁ではなく
軟禁ですね」
って。
そんな細かいツッコミは
いらんわいッ。
「……」
私は口にしていた
お饅頭をお皿に戻す。
「弁護士という
社会的立場にあるヒトなら
実力行使ではなく
ちゃんとセイを納得させるよう
説得すべき
なんじゃないですか?」
「あのセイさまに
理屈で勝てるとは
思えないんですけれどね」
カトーさんは
苦笑いする。
「セイさまには
トーコさんは土産を買いに
外に出たと伝えました」
…あの〜。
「荷物がなければ
セイは
怪しむと思いますけどッ」
「先に船に
荷物を積み込むから、と
セイさまの荷物も
お預かりしてあります」
「……」
荷物もケータイも
私がここから
逃げ出さない為の
人質みたいなモノなのか。
「カステイラは
お好きですか?」
「……」
「もうお饅頭に手をつけて
しまったんだから
今更。ここで
カステイラを食べても
食べなくても
軟禁の事実が
監禁に変わったりは
しませんから」
カトーさんが
私のココロを
見透かしたように笑ってるッ。
「……」
ゴッつい指。
不器用そうに
カステラをナイフで
切り分けている。