「この掘りゴタツ

庭に出れる
通路になってるんだけど

長い間
使ってなかったみたいだな」


って。

まっ黒に
煤けた顔で笑ってるッ。


「…いつから
そこにいたの?」

「カノンがこの部屋に
来た少し後かな」


カノンくんの後を
つけてきて

コタツの通路を
偶然見つけたという。


「…つけてきた、って」


「アイツのウソなんて
すぐにわかったよ。

トーコが
俺に何も言わずに
外に出るなんて
考えられないし」


何よりトーコは
生理が終わったばっかりの
ハズだしだし、って。


アンタねえええええッ。


「何でそんなコトまで
チェックしとるんじゃッ」


「当たり前だろ。

知らずに
エッチのとき困るのは
俺だぞ」


「当たり前じゃないッッ」


真っ赤になって
怒る私を

あはははは、って

セイってば
笑い飛ばしててッ。


「もう!」

のん気に笑ってるけどッ。


「この後
どうするつもりよッ。

コタツの中で
話は聞いてたんでしょう!?」


「…このまま居残って

明日の遺言の執行を
邪魔してやるのも
おもしろいかもね」


「…セイッ」

自分の置かれた立場を
よく考えようねッ。



「まずは荷物とケータイを
探し出すのが先決でしょ!」


「そんなモノ見つけ出しても

この雨の中
船も出せないのに

どうするの?」


う…。