「雨、降っちゃったもんな〜。
帰れないもんな〜。


だったら
楽しまなくちゃ損だよな〜」


イケない小悪魔が
生き生きと目を輝かせ

また
よからぬコトを
考えているッ。


「セイッ。
お願いだから

宣戦布告みたいなマネは
やめようね!」


「宣戦布告?」

私のひと言に
セイの目が光る。


「先にこうして
攻撃を仕掛けてきたのは

あちらさんでしょ?」


「……」

もう誰も
セイを止められないのか。


お願いだから

「…パパとママの立場も
考えて欲しいッ」


「何を寝ぼけたコト
言ってんだよ」


遺産目当てだって
父さんと母さんを
侮辱されて

おまえは
悔しくないのか、って


セイが
私を睨みつけた。


「…カトーやカノンと
いっしょにいて

おまえはヤツらに
アタマまで毒されたのかッ」


「セイッ。やめて!!」


タバコのニオイがする
座布団の上に

私は
カラダを押しつけられる。


「やッ」


「カップめんに囲まれてる
独身オトコを
可哀想だと思ったのか!

それとも

ばあさまに
認められないって嘆いてる
カノンを
気の毒に思ったかッ!?」


セイが
私の髪を乱暴に掴んで

私の顔を凝視した。


「トーコの髪。

カトーのタバコのニオイが
沁みついてる」


「……」