「トーコに
何かあったかもって
俺がどれだけ
心配したと思ってるんだ!」
「…ごめんなさい」
「おまえは俺が
どんなにおまえのコトを
想っているのか
ぜんっぜん
わかってないんだ!!」
セイが
私を引きずるようにして
乱暴に窓際に連れていく。
ガラッ。
セイが窓を開けると
雨が一斉に
風に乗って入ってきて
本を濡らしていった。
「セイ!
大事な本かも
しれないのにッ」
「カトーの
持ちモノなんかより
自分の心配をするんだな!」
セイが私の髪を
さらに引っ張り上げて
窓の外に
私の上半身をさらした。
「冷たいッ」
セイに
びしょ濡れにされながら
「もう
こんなのやめようよッ」
私の髪を掴んでいた
セイの腕に
私はツメを立てる。
「セイッ」
目や鼻の中に
雨が入ってきて
顔が痛くて堪らなかった。
「ゴホッ、ゴホ」
むせる私を
気遣いもしようとせず
雨に濡れる私のうなじに
セイは唇を這わせてる。
「何があっても
俺の傍から離れるな」
生きるときも
死ぬときも
ともに在りたい。
「…セイッ」
雨の向こう
かすむ視界の中で
白い花のつぼみが
揺れるのが見えた。
冬の森、眠らないキミ
オトコ達の事情編
≪〜完〜≫
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