「ど、どどどど
読書中ッ!?」
あんなに帰りたいって
ワガママ言ってたのにッ!?
なんて気まぐれなッ。
「読書に集中したいから
トーコさんが買い物から
帰ってくるまで
部屋に近づくなって
言われました」
「…もしかして
セイくんは
お父さまの例の小説を
読んでいらっしゃるん
ですか?」
「そうみたい。
読み出したら
止まらなくなったって」
「でしょうね」
カノンくんの報告に
カトーさんは
深〜く納得してるみたい
なんだけど。
「そんなに
その小説、面白いんですか?」
私の質問に
カノンくんとカトーさんが
顔を見合わせる。
セイのお父さんが
書いたと言うのなら
読書は好きじゃないけれど
「私も読んでみようかな…」
なのにッ。
「トーコさんが読んでも
楽しめないと思いますよ」
何でカノンくんに
失笑されねばならんのだッ。
くぬうううううううう。
中学生に
バカにされるなんて
屈辱うううううッ。
いくらおバカな高校の
女子高生でも
本の1冊くらいは
読破したコトだって
ありますッ!!!!!
「セイが読んだ後
私にも貸してねッ」
「…いいですけど」
カノンくんが
バカにした笑みで
目でカトーさんに
同意を求めていてッ。
「トーコさんには
まだ早いかな、と」