カトーさんまで
私のコト
バカにしてるううううう。


「…絶対に読破して
みせるからッ」

私はカステイラを
やけ食いだッ。


「そうだ。
カトーさん。

母がアナタのコトを
探していたようだけど」


「えッ」


カノンくんのひと言に

カトーさんが
慌てた様子で
部屋を飛び出していく。


「…従順な犬」


カノンくんが
また私のお皿から
カステラを奪った。


「…顧問弁護士なんだから
呼ばれたら駆けつけるのが
お仕事でしょ」


「どうだか」


「……」

…この勿体つけた
モノ言いとか

ホンット
セイに似てるッ。


ずずずずず。

「……」
「……」


ちいさなコタツ。

若いふたりが
無言でお茶をすすってる。


私の左斜め前。

ポーカーフェイスで
座っているこの少年。


横顔もなかなかの
美少年だ。


…オトコが好きなんて
ホント勿体ないぞッ。


「あのッ」

「何ですか?」


ああ、その
オンナを寄せつけないカンジの
キツイ眼差しが
何とも言えないッ。


「テレビ
つけてもいいかなッ」

「…いいですけど」


私はテレビの前に
積まれていた本を
どけようとした。


「でもチャンネルが
2局しかないですし

この天候だと
ほとんど映らないかと
思いますけど…」


って。

ここは
どんな離れ小島だいッ。