「…ど〜りで」
セイが私をひとりで
土産なんか買いに行くのを
許したハズだ…。
だけど
「何で私が
カノンくん達の
こんな強引なやり方に
協力しなきゃいけないのよ」
「セイ先輩や
トーコさんのご家族の
名誉の為ですよ」
セイがこのまま
明日の遺言公開の席を
すっぽかしてしまって
正式な代理人も出さずに
遺言の執行を
一方的に
拒絶するような行為は
誤解のモト。
不服在り、と
みなされて
「厄介な揉めゴトに
発展するのは
目に見えています」
って。
言われても…。
「セイは養子に出た身だし。
遺産相続もカンケイないと
思うんだけど…」
もともと
遺言公開なんて
立会人みたいなモノだって
パパ達も言ってたし…。
「トーコさんのご両親が
養子縁組を
解消したいって
カトーさんに
相談を持ちかけているって
話じゃないですか」
「それは…」
長い間
寝たきりだったという
セイのおばあさま。
「莫大な遺産に
目がくらんで
養子を解消したいと
申し出たとしても
ま、人間なら
自然で当然な行為だと
思いますけどね」
誤解だッ!
「セイが養子を
解消したがって
いるのは…!」
私との結婚を
視野に入れているから
だって
ノドまで出かかった。
「ここでは
セイさまとの間に
ケジメの一線をしっかり
引いて戴きますように」
カトーさんの忠告が
アタマの中で蘇る。