「…母や僕が
するコト、為すコト
気に入らないんですよ」
100点とっても
「そんなコト
いちいち、ひけらかして
いるんじゃないッ」
一生懸命
介護をしても
「ありがとうのコトバが
欲しくてやっているのかいッ」
カノンくんの
モノマネする甲高い声が
どんどん尖がってくる。
「どんなに
頑張っても認めては
貰えなかった…!」
…何か根深い確執が
ありそうなのは
私にもわかった。
カノンくんの気持ちを
汲み取ったかのように
パンパンと
屋敷を殴りながら
激しい雨が降ってくる。
「カノンさま。
お母さまがお呼びです」
カトーさんが
戻ってきて
「弔問客のみなさまに
ご挨拶を、と」
カノンくんを
連れ出していく。
「あの…?」
私の見張りはいいんですか?
「逃げちゃいますよ〜。
セイにいろいろ
バラしちゃいますからね〜。
口止めとかしなくても
いいんですか〜」
私は
カノンくん達が出ていった
まともな出入り口のフスマを
少しだけ開けて
そ〜っと廊下を
覗き見た。
「雨が降ってきたから
トーコはもう
お役御免なんじゃないの?」
!!!!!!??
コタツの中から
セイが上半身を出して
こっちを見ていてッ。
「セイッ。
アンタいつのまにッ」
心臓が止まるかと思ったッ。