ぷわはッ。
あふ、あふ。あふッ。
「きっ急にお湯
掛けたりしないでよねッ!!」
お湯が鼻に入ったぞッ。
「トーコ、髪、ベトベト」
「セイがッ
カステイラを掴んだ手で
髪、引っ張ったから
でしょうッ」
手でお湯を
セイに掛け返そうと
半分振り返ると
「…あれ?」
セイの姿がなくて。
「シャンプー
持ってきてやるよ」
脱衣場から
セイの声が聴こえてくる。
「…ったく」
ちいさい頃から
女子トイレとか
平気で出入りするような
デリカシーに欠ける子
だったけど…。
「お待たせ」
って
シャンプー類とタオルを
洗面器に入れてるトコロは
オッサンくさいけど
洗面器を
まるでバスケットボールを
持つように
下から5本の長い指で
支えてて
そこだけ見てたら
やっぱり
何を持たせても
絵になるオトコは
違うんだって
感心したに違いなかった。
だけどおッ!!!!
「どうしてセイまで
全裸で入ってくるかなッ!!」
「風呂入るのに
洋服着てる方が変だろう」
「お風呂に入りたいのなら
男湯に行きなさいよッ!!」
「トーコを
ひとりで
置いてくの心配だろ。
また意地悪されたりして…」
縁起でもないッ。