この島にきて
自分の父親の話が
私の耳にどう入るのか
不安でいっぱいだったに
違いない。
もし知られるようなコトが
あったら
心理的にも
肉体的にも
距離を置かれて
しまうんじゃないかって
この島にくるまで
そんなコトばかり
考えていたんだろう。
「何があっても
俺の傍から離れるな」
強気で
いつも以上に傲慢に
私を雨ざらしに
遭わせながら
あのときセイは
「離れていかないで」と
ココロの中で
必死に嘆願して。
自分を取り巻く
この異常な環境や人間関係
見え隠れする悪意と
ひとりで戦っていたんだね。
私は
イタズラなセイの手を
止めた。
「セイの手
ふやけてきて
おじいちゃんみたく
なってきたぞッ」
「トーコこそ
ばあさんみたいだ」
どちらともなく
ふたり
シワシワの掌を合わせる。
「おじいちゃんと
おばあちゃんになっても
ずうううううっと
いっしょにいようね」
約束だよ…。
冬の森、眠らないキミ
父親の秘密編
≪〜完〜≫
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