「両方ともオトコだって
思われるより
よかったじゃない?」
「ここ女湯だからッ!」
フォローされるのも
反論するのも
空しすぎだったッ。
「…トーコの胸が
膨らまないのは
俺の愛し方が
足りないせいかもな」
セイが私の胸を
まるでアイロン台か
何かのように
真っ直ぐに擦っててッ。
「そういう触り方って
すっごい傷つくッ」
「じゃ、くりくり」
セイが
私の胸の先端を
親指で弄び出す。
「触んなくていいからッ!」
「じゃ、トーコが触って」
「……」
そんな色っぽい目で
誘うんじゃないッ。
「さっきの
オジばあさんの言ってた
勘当された先代の長男って
セイのパパのコト
なんでしょッ」
「……」
セイの手が止まった。
「オジばあさん、って」
トーコにしては
なかなかのネーミングだ、って
セイってば
大笑いし出してッ。
…全くッ。
「セイってば
また、そうやって
誤魔化すんだよね」
「…俺の父親が
この島を追われた理由
聞きたい?」
聞きたい。
…けど。
神をも欺く
鬼畜の所業。
聞くのが正直
恐かった。