「…ずいぶんご親切なコトで」
よかれと思って
やったんだけど
親切心と言うモノは
ときにはアダとなるモノで。
セイのジーンズの裾まで濡れて
「わざとだけど
わざとじゃないんだからッ」
「…日本語になってないぞ」
セイが
自分のジーンズの裾を
片手で絞り上げながら
冷やかな目で
私を見た。
「シャワー、よこせ」
なんて言われて
この状況で
「はい、そうですか」と
シャワーを渡すヤツなんか
いないと思うッ。
「絶対にヤダッ」
セイのコトだ。
仕返しは
倍返し以上って
相場は決まってた。
「着替えだって
1組しか
持ってきてないしッ」
「それがどうした」
「……」
「排水溝のゴミ
全部、取ったから
お湯を流しても溢れないか
確認したいんだけど」
あ…。
セイは
トングで掴んだゴミを
私の目の前に
突き出してきた。
「…私が流してみるからッ」
ゴゴゴゴゴおッ。
「流れた! 流れた!」
「もう溢れたりしない?」
排水溝にシャワーを掛けて
確認していた私の背後から
セイが
私の手元を覗き込んでくる。
「うん。大丈夫みたい」
ごくろうさま、って
振り返ろうとした私から
セイがシャワーを
取り上げて。
ヤバいッ!!