「先輩。
長々と
中で何をしてたんですか?」
「何って、何を…」
セイの受け答えに
思わず私はセイの後頭部に
鉄拳をお見舞いしてッ。
「純真な中学生を
惑わすような言い方を
するんじゃないッ」
セイのアタマを掴んで
カノンくんに下げさせた。
「…僕、トーコさんよりは
オトナなつもりですけど」
「えッ」
慕っている先輩に
暴力を振るわれて
カノンくんの怒りと嫉妬の
ボルテージが
ますます上がる。
「あ、いやッ。
ごめんッ。
そういう意味じゃなくて」
「どういう意味だ?」
セイッ。
「ややこしくなるから
話の中に入ってこないでッ」
私は
ひと言多いセイの口を
手で塞いだ。
「先輩と僕の会話に
途中から入ってきたのは
トーコさんの方でしょう?」
え。
「食事の支度が
できていますので、どうぞ」
カノンくんが
私から
取り上げるようにして
セイを
廊下に引っ張り出した。
「カノンくんッ、あのねッ!
私達、お風呂場を
掃除してただけだからッ」
セイの背中を押して
廊下を進み出していた
カノンくんの足が止まる。
「ウチの風呂場が汚くて
それは申し訳なかったですね」
カノンくんの冷たい視線が
私のお節介をを責めているッ。