『カトーさんには
トーコを呼び出して欲しいって
頼んだんだけど
セイが出て焦ったよ』
「え?」
何か嫌な言い回しだ。
『セイの様子は
変わりないか?』
「うん…」
私はセイの方を
チラリと見てしまう。
「何? 俺の話?」
セイは
おどけながら
私の持っていた受話器に
耳を当てた。
…困ったぞ。
パパからの話は
どうでもいいけど
セイのパパの話
パパ達に確かめたかったのに。
「パパッ。
私に悪口言われると思って
セイが聞き耳立ててるよッ」
私はセイを
足で追い払おうとする。
「何だよ!
やっぱ、悪口言う気マンマン
だったんじゃないか!」
「悪口言ってたのは
セイの方じゃないの?
ウワサの、とか
言ってたしッ」
私のセリフに
「くっくっくっく」
セイが何やら
思い出し笑いを始めてッ。
「やっぱり
悪口、言ってたんだッ!」
「言ってない、言ってない♪」
セイが
お腹をかかえながら
向こうの部屋に
消えていった。
「…何か気になるけどッ」
『くくっ』
電話の向こう
パパまで
思い出し笑いしてるッ。
「何ッ!?
セイと
私のどんな話で
盛り上がってたのッ」