「お箸の持ち方
教えてあげるよッ」


私はセイの長い指に
割り箸を割って渡した。


「ココとココをこ〜して持って
こ〜動かす…!」


セイに
割り箸を使わせててみる。


「こう?」


素直に

人差し指と中指を
ぴょこぴょこと
動かすサマが

みょ〜にカワイイ…。


「じゃ、ラーメンに
トライしてみようかッ!」


カワイイなんて
思ってしまったコトを

セイに悟られないように


私はセイに
ステップアップを
急がせた。


「うううううう〜…」

「セイは
リキみ過ぎなんだよッ!」


私はセイの手を取って

ラーメンを
セイの口へと運んでやる。


「ねッ!
ほら、自分で食べれたッ」


せっかく
褒めてあげたのにッ。


「…全然食べた気がしね〜ッ」


って

お箸を私の手に握らせて。


「食べさせて」

って

私の手元で
あ〜んと口を開けて

甘えてきた。


「ほら
めんが伸びちゃうぞ!」


「……」


「ほら! 早く〜!!」


セイが

野生の肉食獣のような
目をして

エサをねだってくる。