「…セイは何でも
自分の思い通りになると
思ってるんだから」
なんて
口では言っておいて。
その手は
野獣の口元に
お箸を運んでしまっていた。
「どうして
めんが1本だけなワケ?」
「……」
自分の腕ごと
食べられてしまうんじゃ
ないかって
ビビってしまった
なんて
口が裂けても言えないッ。
「もっと食べたいな」
野獣の舌が
私の右手を
ぺろりと舐めて
次のエサをねだってくる。
「…カノンくん
そろそろお風呂から
あがってくるんじゃないかなッ」
「……」
「カトーさんが
戻ってくるかもッ」
なんて
野獣の意識を
他に逸らせようとしたって
この魅惑の瞳に
射られたら
ひとたまりも
ないってコトは
この私が一番よく
知っていた。
冬の森、眠らないキミ
お箸の国のヒト編
≪〜完〜≫
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