「カトーさんッ」


「電話はもう
終わられたんですか?」


カトーさんの大きな手が
私の背中を押して

元来た廊下を
先に進ませようとする。


「…今の階段
何だったんですか?」


「日米首脳会談?」


…このオトコッ

何で
ボケてみせたりするのかッ。


「お線香なんて
何か意味でもあるんですか?」


私は
カトー氏のボケなど
スルーして

さらに突っ込んだ質問をした。


「…あの階段は
何かと
いわくつきの場所でね」


お線香を絶やすと

幽霊を見たり
怪我人が出るって
言い伝えがあるのだと

カトーさんが
両手で「うらめしや〜」って

半分、ふざけながら答えてて。


ただの言い伝えだとは
わかってはいるけれど

「……」

どうしよう。

今夜、この家で眠るのが
恐くなってきたッ。


「…幽霊が
出るっていうのは

この場所にみんなを
近づけさせない為の

牽制みたいなモノだと
思いますよ」


カトーさんは
笑ってるけどッ。


この古〜い屋敷の
シチュエーションが
あまりにリアルすぎるッ。