かちゃ、カツ。

キキキッ。


セイが
出す食器の音だけが

この気まずい空気の中
響いてて…。


セイッ、アンタ

質問を
するだけしておいて

後のフォローは
一切なしかいッ。


だけど

かく言う私だって

何も言えずに
いるんだけど…。


「自分の実の妹を
風呂場でレイプしようとして

溺死しかけたんだってさ」


…アタマの中に蘇る
セイの独白に


カノンくんの父親は
もしかして、って

考えなかったといったら
ウソになる。


カノンくんは
セイの従弟じゃなくて

母親違いの弟なんじゃ
ないかって。


…私はアタマに浮かんだ
下衆な勘繰りを

私は必死で打ち消した。


「何か食った気しないな〜」

なんて

セイのバカ野郎が
カトーさんの部屋のコタツで

のん気に憩ってる。


「カノンくんが
お風呂から上がる前に

さっさと
部屋に帰った方がいいよ」


「ええ〜ッ」

アイツの部屋
空気が重いんだよね〜、って。

まるでカノンくんが
イケないかのような言い方を
してるけど

いったい
重い空気になったのは

誰のせいだと
思ってるのかッ。