私は階段から
転げ落ちそうになりながら

セイを
追いかけていったのにッ。


そこには
深刻な顔をした
カトーさんが立っていて。


「ダメだ、カトーさん。
こっちも閉まってる」

セイの声が
格子戸のある階段の上から
聴こえてきた。


「…他に隠し扉とかは
ないの?」

セイが石壁を叩きながら

階段を降りてくる。


「何? どうしたの?」

私の問い掛けに


セイとカトーさん
ふたり、目を合わせててッ。


「…どうやら我々は
ここに閉じ込められたらしい」

って。


カトーさんッ。


「いったい、誰にッ!?」


「…誰って」

セイがまた
カトーさんと目を合わせた。


「…もしかして
カノンくんが?」


「トーコのくせに
えらく勘がいいじゃないか」


「…申し訳ない」

って

どうして
カトーさんが謝るのかッ。


「ちいさい頃なんか
気に入らないコトがあると

よくオトナをここに
閉じ込めては

自己主張していましたからね」


さすがに
中学生になったら

そんなコトもなくなって


「油断しちゃってたなあ」


って

カトーさんってば
笑っててッ。