「本来
線香を取り換えるのは
早朝だったんじゃ
ないんですか?」
セイがカトーさんに
質問をする。
「明日は客人が来るので
朝は忙しく
なりそうだから、と
お嬢さまが…」
誰にも気づかれずに
行っていた恨みの儀式。
「カノンが様子を
確認にきたら
俺達が顔を揃えていて」
ヤバい、見つかったと
「焦ったんだろうな」って
セイは
カノンくんが衝動的に
やってしまってたんじゃ
ないかって
言わんばかりで。
…セイは
口には出さないけれど
カノンくんに
どこか同情的な気がする。
「…プライドの高い子
ですからね」
陰で
こんなうっぷん晴らしを
していたコトを
「みんなに知られて
居た堪れなかったんでしょう」
…ふたりとも
自分達が
カノンくんに生命を危険に
さらされているって
自覚があるのかな。
「だからって
殺されたんじゃ…」
堪ったもんじゃないッ。
「お坊ちゃんだからさッ。
甘えてるんだよッ。
自分にも周りにもッ」
って。
セイが私のアタマを
ポン、っと叩いて
私の隣りに腰掛けた。