わかってる。


セイのパパが
どんな過去を
持ったヒトだとしても

私のセイへの気持ちは
何も変わらないから。


私は
握ったセイの指に

一生懸命
”気持ち”を送った。


「…お兄ちゃんに
イタズラされそうに
なったって

言いなさい、って」


「え」


「セイさまのお父さまは

妹の代わりに
自ら罪を被られたのです」


「……」

「……」

「…どういうコト?」


「お嬢さまは
自分の実の兄に

恋をしておいででした」


セイのパパが
別荘地で
セイのママと知り合った。

そのふたりの交際が
進み出すのを知ると


「お嬢さまは

もう自分の気持ちが
抑えきれなく
なってしまって…」


セイのパパが
入浴中だったお風呂場に

ハダカで現れて

思いの丈を
ぶつけたのだと言う。


「兄君にキッパリと

出ていきなさい、って
背中を向けられ

拒絶されて」


恥をかかされたと

気がつくと
愛情が憎しみに変貌
していて。


「無我夢中で
兄君のアタマをお湯の中に
沈めてしまっていたそうです」