私はセイに
ヒジテツを食らわしてやる。


なのにッ。

カトーさんも
切ない顔して

無言で湯たんぽを
抱いてるんじゃないッ。


「そんなに恋しいなら

どうして
あのオバサンと
結婚してやんないの?」


「ちょっと、セイッ」


ほら、見てよ。


無防備に
セイにツッコミポイントを
晒したりするからッ。


「私なんか…とても」


カトーさんッ
真面目に答えなくても
いいんですよおおおおお。


「あんな
とんでもないオンナは
手に負えそうもないか…」


セイをますます
増長させてしまいますううう。


「お嬢さまは
私には勿体ないくらい
素敵なお方です」

「ど〜だか!」


セイが
ヒザの上にいた私を
押し出すようにして

立ち上がる。


「セイッ!?」


暗い階段を上り詰めると

木製の扉を
背もたれにするようにして

セイは階段に腰掛けた。


「アンタも
ズルいオトコだよね。

オンナに
自分の羞恥な過去の
懺悔話までさせておいてさ」


ヤルコトだけやって
責任は取りませんじゃ


「あのオバサンも
気の毒すぎだよな〜」


セイは階段の最上段から
私とカトーさんを
見下ろしながら

大声を出して
調子に乗ってる。


「…セイ、やめなよッ」