「地震などないって
いいきれます?

雨水のせいで
老朽化したトコロから
崩壊して

生き埋めになったら、とか
考えないんですか?」


セイが
もっともらしく
この島の地質なんかを
専門用語だらけで
説明し出して。


「……」

カトーさんは
判断できずに
黙り込んでしまう。


「わかったら

トーコ、おまえも
剥がすの手伝え」


御札にツバをつけて
セイが
私のオデコに貼りつけた。


ぎょええええええええッ。


「ずえったいに
火付けの片棒なんて
担がないモンねッッッ!!!」


私は御札さんに
アタマを下げ捲くるッ。


「この屋敷を
火事にしたくなければ

黙って俺の指示に従え」

って。


何なのッ
この威圧感ッ!


ぺりぺりぺり。


御札を剥がす音が

罰あたり罰あたり、って
聴こえますッ。


ああ〜。

セイの迫力に押されて
しまってる
自分が恨めしい〜〜〜。


「だいたい家内安全なんて
いかにもご利益ありそうに
ありがたく貼ってるけれど」


この家のどこが
しあわせなんだッつーの、って

セイってば
ホンット、ひと言多いッ。


私はココロの中で
神様に詫びを入れる。


湯たんぽのお湯を掛けて
木製の扉の下の方を湿らせて。

さらに
水分が蒸発しないよう
御札を貼り付け、パックして。


扉の向こう側の
床に火がつかないよう
工夫した。


「古い木だから
よく乾燥してて
燃えやすいぞ〜〜〜♪」


…あのね。