黒魔術もどきの
ろうそくを擦りつけ
裸電球を割って
扉に溝を掘る。
そこにコヨリ状にした
御札の残りを詰め込んで
発火点にして
セイがライターで
火をつけると
あっという間に
木目に沿うように
炎が縦に走っていった。
扉がバチバチと音を立てて
扉の上部の石壁が
あれよという間に
まっ黒に煤けいく。
真っ白な煙が目に痛い。
お湯で濡らした
Tシャツの裾で
マスクしてるけど
このまま
窒息してしまったら
どうするつもりなんだあああ。
扉が完全に
燃えきってしまうのなんて
とてもじゃないけれど
待ってられないッッ!!
「扉ッ、私が蹴破るからッ!」
幸いにも
私は靴下をたくさん
履いてるしッ。
「勝手なコトをす…!!!」
バゴッ。ピシッ。
「!!!!??」
セイがセリフを
全部言い終わらないうちに
突然、扉が音を立てて
炎が消えて。
嫌な科学的な匂いが
辺りに充満したッ!!!!
ドガガガガガッ。
「きゃああああああああッ」
おおきな音を立てて
扉が開いた。
「何ッ、これッ」
白い泡が
足元に流れてくるううううッ。
「嫌あああああああッ」
私は予期せぬ状況に
狂ったように
セイにしがみつくッ。
「何やってるんですかッ!!」
「え」
カノンくんッ!!!!!!