開いた扉の向こうで
仁王立ちするカノンくん。

足元には
消火器が転がっていて。


「火をつけるなんて
ホントッ信じられない!」


カノンくんは冷やかな目で
私達を階段の上から
見下しているけれどッ。


通風口まで閉じて
私達を地下室に閉じ込めたり

呪いの儀式やったり

カノンくんッ

アンタにだけは
言われたくないかもッ。


「ちょっとした
イタズラだったのに」


こんな大袈裟にしてさ、って

カノンくんってば

あくまで
肝試しのつもりだったって
いわんばかりで。


私が殴ってやろうかと
思ったッ!!!!!


のにッ。


パンッ。


「えッ」

目の前で起こった出来事に
私は自分の目を疑った。


「カノンさまッ。

あなたこそ
イタズラの域を
越えています…ッ!」


こんなコトをして
一歩間違えたらどうなるか

そんなコトの判断もつかない
お年でもないでしょう、って


カノンくんの頬を
張り倒した
カトーさんの手が

情けないって

怒りに震えてる…。


「…まあ、まあ。
カトーさん
もういいじゃん。

結果的には
カノンが助けてくれたんだし」


って。

あの執念深いセイが

カノンくんを
庇い立てしてるッ!?


信じられないッ。


いつものセイなら

「おまえが扉を開けなくても
脱出できてた」とか

強がりを言いそうな
モノなのにッ。