「…ッるさいッ!」
おまえなんかに
何がわかるんだ、って
カノンくんが
セイのカラダを
石壁に押しつけて
首を絞めようとする!
「カノンくんッ!」
「トーコ、手を出すなッ!」
「だって…ッ!」
両手をだらんと
下に垂らしたまま
好きにしろって
言わんばかりに
セイが無防備に
首をしめさせていて。
「……」
「…アンタのそういうトコロが
嫌いなんだ!!
バカにして
バカにして
ヒトをとことん
見下して…!!!」
半狂乱で
セイのカラダを
石壁に打ちつける。
「アンタはいいよね!」
何もしなくても
おばあさまに可愛がられて
愛されて
認められて。
「あの日以来
僕のコトなんか
呆れたと言わんばかりにッ
僕のやったコトを
誰にも言わず
僕が何をしても
叱らなくなって…!」
口にするのは
「セイは
元気にしてるのかねえ」
「遠く離れて暮らす
アナタのコトばかりで」
そんなおばあさまの態度に
お母さまは
ますます意地になって
おばあさまに
認められる人間に
なりなさい、って
「僕にプレッシャーばかり
かけてくる」
比較されて
競争させられて。
「もうウンザリだった」
学校をやめてくれて
競争が終わった。
勝った、と思ったら
「今度は遺産相続だ…!」