豪快に笑う
極楽とんぼ。
おおらかで
ちょっとエッチで
ナイーブで。
「誰からも愛されて
おいででした」
反対に
カノンくんのお母さまは
「お父さまも、お母さまも
お兄さまが一番かわいいの」
勘当して
追い出したかったのは
本当は私の方で。
「お兄さまではなく
私がいなくなれば
よかったのにと
お嬢さまは
ずっとご両親の愛情を
信じられなくて」
献体に賛成したのも
「自分なんかに
看取られ、葬送られるのは
余程嫌だったのだろう、って
よく考えもせず
献体実行の同意書に
サインされて」
「私はイケない娘だから。
お兄さまを差し置いて
しあわせになったりなんか
しちゃいけないの」
哀しいくらい
頑ななココロ。
「そんなお嬢さまに
私がして差し上げられるのは
傍にいて
見守って、支えるコトだけ」
…だけど
例え、父親と名乗れなくても
「一生を掛けて
私はお傍で
おふたりをお守りしますから!」
カトーさんは
そう言い切った。
「……」
カノンくんは
カトーさんの胸の中
黙ったまま…。
だけど。
その手はしっかりと
カトーさんのポケットを
握りしめていた。
自分の部屋に戻ると
カギを掛けていたハズの
扉が開いていて。
「カノンのヤツ
押し入れから侵入して
地下室への通路を
タンスで封鎖して
堂々と正面から出ていったか」
セイが笑いながら
タンスを元に戻した。
畳の上に腰を下ろして
「はああああああ」
私はやっと緊張が溶けた。