タコ焼きでエネルギー補給を
終えたセイは
ようやく覚醒したらしく
食べ終わる頃には
眉間のシワも消えていて。
「ほら、荷物引きずるなよ」
私の荷物を少し
持ってくれたりして。
やさしいのッ。
マンションの
エントランスに着くと
「やっと我が家だ〜」
思わず懐かしさに
ナミダが出そうになる。
たった一夜の外泊だったけど
あんまり
いろんなコトが有り過ぎて。
郵便BOXの
ネームプレートにすら
「ただいまッ」
挨拶してしまった。
「あれ?」
…何だろう、これ。
【ウチで預かってます】
我が家の郵便BOXに
不審な貼り紙を発見する。
「これ、ママの字だよね」
貼り紙には
ママのイラストも
添えられてあって。
「…ちょっと恥ずかしい」
「母さんってば
俺らの留守中に
また何を
預かっているんだか」
セイがエレベーターの中で
苦笑していた。
「ご近所の宅配便かなッ。
おいしいモノとかだったら
いいのにねッ」
「おすそわけを
期待するなんて
卑しいヤツだ」
「セイだって
ちょっとは
期待してるんじゃないのッ」
「ウチの隣り近所の
おすそわけなんて
どうせ
田舎のコンニャクとか
佃煮とかに決まってる」
…確かにッ。
「ただいま〜」