「…おい、トーコ、おまえ。

俺という人間を
根本から疑ってないか?」


セイが羽毛布団を
イッキに剥がして


白骨死体が…。


「えッ」

白骨死体が

「子どもを
抱いているううううう!?」


「だ〜か〜ら!
白骨死体じゃないってば」


「え」

セイの呆れる声に
私はそっと顔を上げる。


…よく見たら

それは

セイの部屋に
オブジェとして飾られていた

骨標本で。


「骨標本に着せていた
海賊の服とか

脱がせて
どこにやったんだッ」


骨標本といっしょに
うつぶせ寝で眠っていた
その子どもの髪の毛に

セイが手を掛けようとして


「セイッ、ここは堪えて!」

私はセイに自制を求める。


「…何だよ、このガキッ。

ヒトの留守中に
ズーズーしいヤツだ」

って

私のホッペをびよおおおんと
伸ばして

セイは怒りを私にぶつけた。


「…こんな不気味な部屋で

骨標本なんかと
よく一緒に眠れるよね」


私は頬を擦りながら

片手で
眠りこけていた子どもの髪を
かきあげる。


「えッ」


見覚えのある
この横顔…。


「……」

私は思わず
かきあげていた髪で
その子の顔を
隠し直した。