「セイッ、や〜ねッ。
チャイムくらい鳴らして
帰ってきなさいよッ」
大慌てで
ママがセイを
玄関に押し返してッ。
「おう?」
すんでのトコロで
野生の少女に
セイの姿を見られずに済んだ。
「ママとセイ。
どうかしたのか?」
「…ちょっと見てくるね」
私はパパと少女を
ダイニングに残して
セイ達の様子を見に行った。
…恐らくママも
あの子が美形の男子に
ヒステリー反応を
起こすって
知ってるんだ。
玄関に様子を見に行くと
「何やってるの…?」
ママの手には
セロハンテープ。
セイが私に背中を向けて
立っていた。
「あの子ねッ。
ハンサムさんが苦手で
自分のパパでさえ
長期出張から帰ると
極度の拒絶反応をする
らしくって」
あんまり酷いときは
いつもコレを使って
少しずつ慣らしていってる
らしいのよ、って
ママがせっせと
セイの顔に
セロハンテープを
貼っている…。
「…もう充分だと思うよ」
セイはママのするコトに
逆らえないでいて。
「…セイ?」
よせばいいのに
恐いモノ見たさに
私はセイの正面に回った。
「…あ」