セイの投げる
グリーンピースを
たったか、たったか
拾い集めては
野生の少女が
パパに渡してて。
いい子、いい子
して貰っては
ご褒美に
デザートのイチゴを
口に入れて貰ってるッ。
…パパッ
この子は犬ですかッ。
「どうしたッ。
もうオシマイかッ」
手持ちのグリーンピースが
なくなって
野生の少女に袖を掴まれ
あのセイが
せっつかれてる。
「……」
そんな少女を
セイはあくまで
無視し続けていて。
少女の好奇心は
ますます
そんなセイに向けられていく。
「おまえ。オトナの分際で
箸も持てないのかッ」
「……」
「箸を持てないオトナは
オンナにもモテナイって
パパが言ってたッ」
「……」
「ごちそうさま、したんなら
歯を磨こうかッ。
え〜っと…
この子の名前…」
「ああ、この子はね
ヒメミヤ…」
「駄犬」
え。
「駄犬、で充分ッ。
そんなイヌに
人間の呼び名など必要ないッ」
って。
お貴族さまッ。
それは、ないでしょおおおお。
つんつんつん。
「…ダケン、って、何ッ?」
野生の少女が
今度はママのエプロンを
引っ張った。
「駄犬ってゆ〜のはなあ。
最高にカッコイイって
意味だよッ」
セイは挑発するように
少女の顔の前に
自分の顔を近づけて
ガンをたれるッ。