「案外、今頃、ジュナさん達
警察に保護されてたりして」
ついつい楽観視しようと
してしまうのは
私の悪いクセだ。
「どうかな」
その点
セイは何事にも懐疑的で。
「俺達が
交番から戻ってきたとき
警察はまだマンションを
張っていたからな」
…全然、気がつかなかった。
セイってば
あの状況下で
よくそんなトコロまで
チェックしてるよね。
ホント、感心する。
だから自分も
まさか少女が
連れ出されていたなんて
思いもしなかったんだ、って
セイは
言い訳した。
「あの時間帯。
考えられるとしたら
音楽教室の子ども達の
送り迎えに混じって
脱出したんだと思うよ」
「……」
ウチのマンションにある
音楽教室。
野生の少女も
通っていて
ジュナさんが
ママさん達に
混ざっていたとしても
確かに違和感はない。
ジュナさんは
ママさん達と
顔見知りの可能性だってある。
「堂々と自然に
正面突破されたら
警察だって見逃すだろう」
あくまでも
推察にしか
過ぎなかったけれど
今は
少女の安否を確認するのが
先決で。