「…パパ。
わかってくれると
いいけれど」
分の悪そうな説得。
想像しただけで
溜息が漏れてしまう。
「いいか。
おまえは
ただ俺の隣りで
ニコニコしてれば
いいんだからな」
余計なコトは言うな、って
セイが厳しい顔で
念を押すッ。
普段、よくしゃべる娘が
黙ってたら
かえって怪しまれは
しませんかッ。
エレベーターを降りる
セイの後姿に
ココロの中で
疑問を投げ返した。
エレベーターを降りると
すぐ正面に
受付があって。
パパを呼び出して貰った。
「ねえ
ホントに大丈夫かな」
「……」
不安が思わず口をつく。
セイのコトだ。
考えなしに
行き当たりばったり
なんてコトは
ないとは思うけど。
電話の1本も入れずに
突然、子ども達が
会社に訪ねて来たりしたら
パパはかえって
私達の行動を
疑ってかかるのでは
ないだろうか。
受付のお姉さんに
勧められるまま
受付前のソファーに
腰を下ろして
私達は黙ったまま
パパが現れるのを待った。