乱れ咲き♂012


幼い子ども。

しかも
かなりマイペースな
個性の強い少女を相手にして

セイのストレスも
相当なモノのようで。


気がつくと
足元には

セイの手によって、と思われる

無残にも引きちぎられた
葉っぱの残骸がいっぱいで。


「……」

ケータイで
少女と会話している
セイの背中を押して

植え込みから
セイを引き離した。


その瞬間

「おいッ。ちょっと待てッ」

セイの声が荒だって

思わず私は
両手を引っ込めるッ。


「おいッ。もしもしッ。

おいいいいいいッ!!!!」


「…切れた」

セイがケータイ電話を
片手に

唖然としていた。


「切れた、って
電話がッ!?」


「…この状況下で
他に何が切れると言うんだ?」


…セイが我慢しきれずに
キレたのかと思った、って

ノドまで出かかったけどッ。


「あのクソガキッ。

ヒトが話してる最中に
勝手に電話、切りやがったッ」


セイが再び
ケータイをリダイヤルする。

「…出ないッ」


セイが今度は
本当にキレかかっているッ。


「あの子が切ったとは
限らないじゃない?」


私は懸命に
少女の行動をフォローした。


「な〜あにが

ぐうばあ〜い、だ〜りッ。
し〜ゆう、ばいッ、だッ」

セイが
電話の切り際の
少女の口マネをするッ。