私はセイのヤル気を
復活させようと
懸命だったのにッ。
「…どうやって?」
セイのコトバは
冷やかでッ。
どうやってと
言われても…。
「色仕掛け、とかッ!?」
「……」
静かな階段。
冷た〜い空気ッ。
セイが
ちいさな溜息を
ひとつ。
「だってッ!!!!
そんな顔するけどッ
恋は盲目って言うじゃないッ。
ニッタさんだって…!!」
「…どうしてニッタが
おまえに気があるなんて
思い込みが出来るのか」
「だってッ!!」
「…言っておくが
ニッタの野郎が
興味を持っていたのは
ダケン、の方だ」
え。
「ダケンから貰った
ハンカチに感動し
ダケンとキスしてる俺に
猛烈に嫉妬してた」
…うそッ。
「スーパーで
あのガキが
いっしょだじゃないと
知った時のアイツの顔
忘れたの?」
があああああ〜〜ん…。
「トーコ、おまえ。
俺に愛され過ぎて
ちょっと
自信過剰になっちゃって
るんじゃないの?」
「……」
セイのコトバに
言い返せないッッ。
だけどッ。
刑事さんまで
あの子のコトを
狙ってるなんて。
「ますます
放っておけないよ!」
私は
階段を上り始めるセイの
皮のジャケットを
また掴まえて
いっしょに
階段を上って行った。