「…おまえがついてくると
1人分、要らぬ出費が
かさむだろ〜が」
セイは受付で
個室をひとつリザーブする。
「セイって
妙なトコ、セコイよねッ」
「現金をあまり持って
出なかっただけだッ」
どうしてこういう場所は
カードが使えないんだ、って
セイが店員さんを
ひと睨みしてッ。
「こういうトコロで
時間を潰そうなんて考える
セイが悪いんでしょッ」
私はセイの目を押さえて
眉をひそめる店員さんに
ヘコヘコしながら
セイを個室に押し込んだ。
タタミ1畳分の
スペースに
机とパソコンと
ソファーがひとつ。
「……」
退屈な空間だッ。
「あ、ゴハンとかも
食べれるんだ」
机の上にあるメニュー表を
私が手に取ると
「現金は、ないからなッ」
…セイが
夢のないコトを言う。
「パフェくらいなら
頼める現金
持ってるもんッ」
「何か食いたきゃ
入口のトコロの自販機を
利用しろ」
できるだけ
無駄遣いするな、って
エラソーに
私にまで
注文をつけてきてッ。
「家に帰る交通費さえ
残してあれば
いいんでしょッ」
息巻く私に
セイは私の質問に
答えようともせずに
机の上のパソコンを
立ち上げた。