キーボードの上で
うな垂れてる私の後頭部を
邪魔にしながら
セイは軽快に
キーボードを操っている。
カチカチ、と
セイの
キーボードを叩く音だけが
響いていて。
…セイの機嫌を
また損ねちゃったかな。
今度は私が
溜息をついてしまっていた。
「…おまえなあ」
頼むから
俺の目の前で
溜息なんか
つかないでくれよ、って
セイの手が
私の髪に触れてきて。
「俺、この世の中の
誰に何て評価されようと
平気だけどさ」
おまえにだけは
いつも満点を貰える
オトコでありたい、って
セイが
私の耳元で切なく呟く。
「…一生、言っててッ」
セイのセリフを
うつ伏せになったまま
ジョークとして
受け流したけれど。
私の表情が
セイに見えなかったコトを
神様に感謝、だ。
きっと今の私
不覚にも
恥ずかしいくらい
紅潮してしまっていると思う。
そんな私に
気づきもせずに
「やっぱり
このホテルが怪しいな」
なんて
セイの興味は
もうネットの先に向ってた。
「…このホテル、って?」
私は勢いよく顔を上げる。
ゴツッ。
私のアタマが
セイのアゴに
クリーンヒットして。
「…だ…ッ」
セイがソファーの上
のた打ち回ったッ。