あちゃあああああ。
「ホントだッ!
ヨーロッパの教会の
鐘の音を
使ったチャイムッ!
VIPのフロアは
部屋ゴトに
音色が違うんだって
書いてあるねッ」
私は
その場を誤魔化すように
パソコンの画面の文字を
読み上げるッ。
「……」
「どうりで
聞いたコトがあるような
ないようなカンジだった
ワケだよねッ」
私のひとりしゃべりが
延々と続いててッ。
「……」
「……」
ヤバいッ。
こうなったら
話題を私に有利なモノに
変えるしかないッ。
「だけどッ
セイってば
どうして
こんな高級ホテルの
VIPフロアなんて
経験があるのかなッ」
セイを詰問しようと
振り返った私のアゴを
セイは乱暴に掴んで。
「…おしゃべりな口を
塞いで欲しいのか?
それとも
甚振って欲しいのか?」
セイの膝の上
私は赤ちゃんみたいに
横抱きにされてッ。
「もう少しだけ
お利口さんにしていたら
今夜はたっぷり
かまってやるからさ」
って
その目が
恐いんですけれどおおおお。
あうあうあう、と
動揺している私を
軽くいなして
「もしもし。
俺、セイですけど」
セイが自分のケータイで
どこかに電話を掛け始めた。